このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。
TOP > 光免疫療法国内臨床試験開始
光免疫療法の国内治験開始の報道がヒートアップしています。
光免疫療法についてはこれまでにも何回か書かせて戴いておりますが
「光免疫療法(2)リンパ球バンク」
で検索頂ければありがたいです。
端的にポイントだけ申し上げますと
: 報道されている内容は多分、相当に不正確。
: 夢のような治療というほど決定打にはならいのでは。。。。
: かといってでたらめな話ではないでしょう、たぶん。
まず、がん細胞だけに集まる物質を事前に投与しておくと報道されているのですが、それは無理です。
もし可能ならその時点で、「夢のがん特効薬」の完成です。
光を照射する必要はありません。
こういうのは、研究者のご発言を拡大解釈して記事にしてしまうのか、その辺りはよくわかりませんが理屈に合わない話が報道されています。
一方、がん細胞に多く発現される物質を標的にする分子標的薬が実用化されており、これを投与すると「正常細胞にも結合する」ものの、「ある程度多い目に」「がん細胞にも結合する」ものです。
分子標的薬は従来型の抗がん剤を押しのけて今や欧米の標準治療薬となっていますが日本ではまだまだ末席に座らされています。
Aという分子標的薬がXの部位のがんに保険適応にはなっています。
ところが、ZやY、それ以外の部位のがんには保険適応になっていません。
Bという分子標的薬がYという部位のがんの保険適応になりそれ以外の部位の保険適応にはなっていません。
と言う風に特定の部位ごとに分子標的薬のどれかが保険適応になってきたのですが、本来、分子標的薬は部位にはあまり関係ない設計ですので保険適応外でも保険が効かないだけで薬は効くことがあると考えるのが妥当です。
ということは分子標的薬保険適応外処方の時点で光に関係なく効果がでる可能性があります。
特に、報道では「マウスの腫瘍が消失した」としていますが、これはよくある「それは報道してはだめでしょう」という「患者さんをミスリードするもの」です。
マウスにヒトがん細胞を移植しておいてそこへ分子標的薬を投与するとどうなるか。
マウスの正常細胞はヒトの細胞と異なり分子標的薬は結合しません。
すると移植されたがん細胞だけに分子標的薬が集中します。
つまり報道されているような「予めがん細胞だけに集まる物質を投与しておき」という状態になるわけです。マウス内のヒトがん細胞を相手にして実験すれば当然そうなります。
がん患者さんの体内では分子標的薬は正常細胞にも結合しますので、同じようにはいきません。
もう少し詳しくという方は
「光免疫療法 (2) リンパ球バンク」を
ご覧ください。