2012.6.27.


最近では、
「なぜ、リンパ球バンクはANK療法を
 健康保険適用としないのか?」

という質問を受けることはなくなりました。

以前は、決まってこの質問を受けていました。


医師法適用となる医療行為に関し、
株式会社が「製造承認」の申請を行うことは
法的に認められず、従って、「政府の承認」も、
「健康保険適用」も認められないのです。

「しない」のではなく、法的に、「できない」のです。

では、薬事法適用なら、製造承認を申請の上、健康保険適用が
認められるのか、というと、やはり、実態としては
ほぼ無理なのです。


様々な問題が山積みなのですが、
まだまだ、一般の方が、よくご存じない事実として
「適用範囲が非常に狭くされる」という問題があります。

適用範囲を狭く制限されるため、
たとえ、健康保険適用になったとしても、
ほとんどの患者さんにとって
「適用外」となるのです。

ちなみに、先進医療制度などは、さらにさらに
狭く適用範囲が狭められるため
ごく一部の患者さんだけが
適用となり、大半の患者さんにとって、
「使えない」ものとなります。

今日の承認審査制度では、「がんに対する適用」はとれないのです。

転移性乳がんの患者さん、ステージが○○で、手術後、
抗がん剤と併用で、、、
いくつも条件がそろっている患者さんだけを集め、
二つのグループに分けます。
そして、従来の標準治療だけを受けられた患者さんと、
従来の標準治療に新薬を加えた患者さんとを比較して、
両方のグループの患者さんが、
いつ亡くなられたかをデータとして集めます。

結局、治験に参加された患者さんは、全員、
お亡くなりになられるのですが
1〜2ケ月の延命効果を証明すると、
有効性を示したことになります。

実際には、治験に参加した患者さん、
100名の内、97名には、何の効果もなく
3名は、すぐに亡くなるはずが、しばらく、
生き延びられた、この3名の劇的な延命効果が
全体の統計値を押し上げ、有効という判定になる、
というのが、「よくあるパターン」です。


さて、問題は、ここからです。


こうして、承認された新薬は、「転移性乳がん」において、
「○○という状態」で
「既存の抗がん剤との併用」を条件に、
保険適用になるわけです。

では、それ以外の乳がんは?
単独投与はできないの?

胃がんは?
食道がんは?
肺がんは?
大腸がんは?
腹膜疑粘膜腫は?
多発性骨髄腫は?
滑膜肉腫は?
成人T細胞白血病は?
成人T細胞白血病のくすぶり型は?
成人T細胞白血病のリンパ腫型は?
悪性リンパ腫濾胞性B型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?



これらは、一つずつ治験をやらなければいけません。

全部で、何百どころか、何千というタイプがあり
さらに、ステージや治療法の組み合わせなどを
考えると、もっと多くの組み合わせが存在します。

しかも、成人T細胞白血病のくすぶり型といっても、
実際の治験の際には、より詳細な「クライテリア」ま、
患者さんの詳細条件、治療のプロトコールの詳細、、、、
などなど、たくさん、条件がつくのです。


かくして、「がん」すべてに、健康保険適用となるには、
今世紀いっぱいかけた位では、全然、時間が足りない
ということになります。 人類史のブログと同じ位の
時間のスケールが必要となるでしょう。


仮に、何とか、健康保険適用となっても、その条件で
治療を受けられる患者さんは、がん患者さん全体のほんの
一部に過ぎないのです。


ANK関連でいうと、よくあるのが、抗体医薬品ハーセプチンは
「乳がんの薬」だという勘違いです。
保険適用となるのは、乳がんと、胃がんの、しかもある条件を
満たした場合に限られます。 

ところが、上皮性の悪性新生物、つまり、いわゆる「がん」全体の
およそ95%は、上皮成長因子のレセプターを発現しており、
さらにそのうち何割かが、上皮成長因子のレセプターを過剰発現しており、
これらのレセプターを標的とする分子標的薬の使用を考慮すべき
患者さん、と考えるべきです。

固形がんであれば、どの部位にできたがんであれ、概ね、その何割かが
ハーセプチンの標的物質であるHER2抗原を過剰発現しており、
当然、ハーセプチンの使用を考慮すべきがん、と考えられます。 
ところが、保険適用になるのは、わずかの部位にできたがんだけと
なってしまいます。

薬事法適用となる医薬品でさえ、こういう扱いを受けてしまうのです。

ましてや、医薬品ではない免疫細胞療法を保険適用となると、
どうすれば、すべてのがん患者さんが、健康保険を使って
治療を受けられるのか、現行の制度の中では、全く見通しが
立たないのです。

制度を根本的に変えてしまうしかありません。