2017.5.25.



旧大日本帝国海軍 イ号潜水艦58号 である
可能性のある潜水艦の船体のおよそ半分が
海底に突き刺さった状態で発見されたという
ニュースが流れています。

もっとも、同型艦の可能性もある、とされています。


イ58潜 といえば、子供のころ
代表的な英雄のひとつ、でした。

原子爆弾輸送任務についていたとされる
米重巡洋艦インディアナポリスを
魚雷攻撃により撃沈したとされています。

子供のころは、広島、長崎に投下する原爆を
運んだあと、更に、3号目の原爆を運んでいたという
噂がありました。 

3号目の話は事実ではなかったようですが
もし、イ58潜が敵艦を撃沈していなかったら
3発目の原爆が落ちたのかもしれないと
ほんとうにありがとうと、感謝していたのでした。


イ58潜は、いわゆる人間魚雷「回天」を
搭載し、哨戒任務中、単艦で行動中の
敵重巡を発見、通常の魚雷攻撃を仕掛け
見事に撃沈しました。

「回天」は、潜水艇というより、魚雷を
改造したような超小型潜航艇に、人間が二人のり
敵艦に命中するまで操縦することで
命中精度を跳ね上げるというもので
米軍も最後まで、抜本的な対策が立てられない
日本の特殊兵器の一つとして恐れていたものですが
太平洋の戦場にあって、なぜか、護衛の駆逐艦を
つけていない対潜装備をもたない
重巡洋艦で、それも真っ直ぐに
腹をさらしながら、射線上を横切っていくということで、
無誘導の真っ直ぐ走るだけの、通常魚雷でも
確実に仕留めることができました。
もっとも、通常魚雷の方がはるかにスピードが
早く、状況によっては、通常魚雷の方が
確実ということもあります。

逆に、執拗に追撃してくる敵駆逐艦2隻を
回天2隻を放つことで、両艦とも撃沈し
母艦の潜水艦が救われたこともあり、
向かってくる敵には、回天は極めて有力な兵器です。


インディアナポリスの水兵さんたちが
原子爆弾をつくったわけでも、使おうと考えていたわけでもなく
ただ、任務で船に乗っていただけで、何か特殊なものを
運んでいることは、誰もがわかったはずですが
原子爆弾に関する情報は開示されず、
陸軍関係者が、搬送責任者として乗り込んでいました。

単独航行で、しかも隠密任務についていた艦で
あったこともあり、インディアナポリス撃沈の事実は、
米海軍になかなか認知されませんでした。
あっという間に爆沈し、救難信号も出せず
乗組員の7割が命を落とすことになります。


もちろん、この艦艇なり、乗組員なりが憎いわけでもなく
むしろ、水兵さんたちは、犠牲者以外の何者でもないのですが
原子爆弾を投下された国の国民として、被爆者の子供として
白血病で死にかけた者として、仲がよかった原爆二世の従兄弟が
白血病で亡くなった者として、原爆輸送艦を「撃沈」したことは
快挙だったのです。 

やった、やられたの恨みは、新たな戦いを生むだけで
殺し合った不幸を乗り越えなければいけませんが
インディアナポリスの生き残り乗組員と、
撃沈した側の橋本艦長の親族とは、交流を重ねたそうです。

インディアナポリス乗組員は、極秘任務を果たしたあと
海のど真ん中であっという間に乗艦が沈められ
米海軍から忘れ去られ、5日間、ほったらかしにされます。
サメにみんな食われた、と言う話も聞いたことがあり
映画ジョーズにも、この艦のことが登場しますが
実際は、みなサメに、ということではなかったものの、
漂流中に亡くなった人が
犠牲者の過半を占めていました。

戦後、タンカーの船長に転職された橋本艦長が
瀬戸内海で、よりによって、後輩にあたる
自衛隊の潜水艦と衝突事故を起こされた時には
何か複雑なものが去来しましたが、
日米双方の戦史に残る稀代の名艦長も
もう、この世の人ではありません。


今回、みつかった船体は、イ58ではないのかも
しれませんが、日米原子力協定更新直前の時期に
何かメッセージを送っているのでしょうか、、、、