2009.3.24.
 
 
米国では、一人の人物を著名にし、その人物を通して、
特定の考え方や価値観を広め、基礎研究や治療方法の
「流行」の流れをコントロールしていく、という話を少しさせて
いただきましたが、日本では、どうでしょうか。
 
この人が、何々分野のドン、という言い方はありますが、
あまり顕著な例はないですね。 iPS細胞の中山教授を
「持ち上げ」はしますが、神格化とか、預言者の如く、
という扱いではありません。 
 
さて、パンデミックフルー、高病原性インフルエンザ大流行の脅威に
ついて、国立感染症研究所の岡田晴江氏が、メッセンジャーのように
行動しておられます。米国のように、予算決定権を持っている訳でもなく、
特別な権力が与えられた 「選ばれし人」 ではありません。
厚生労働省関連の公的な立場もあるのですが、
個人名で本を出版して、とんでもなく危険な新型
ウィルスの流行に警鐘を鳴らしておられます。
 
一方、全く、野に下った母里啓子氏。
元、国立保険医療科学院疫学部感染症室長なのですが、
愛知県がんセンター研究所などの勤務歴がおありです。
 
こちらは、公職を退いておられ、純然たる個人のお立場で、
やはり、何冊か本を出されておられます。
 
 
お二人とも、「専門家」なのですが、本の趣向は全く異なっています。
 
岡田晴江氏は、パンデミックフルー発生時のインパクトが、単なる
従来型のインフルエンザとは全く比較にならない、大惨事となることを
訴え、あらゆるインフラがダウンすることを想定し、水、電気、ガス、携帯
食料、交通機関、医療機関、金融機関、あらゆるものがストップする
前提で、生き延びる準備が必要としています。 (この点は、全く
その通り、と、賛同いたします) 
 
母里啓子氏の方は、現時点における、インフルエンザをはじめとする、ワクチンが
効果がないどころか、極めて危険なものであり、ワクチンをうってはいけない
ことを強調しておられ、趣旨は異なっているのですが、「インフルエンザ」という
接点において、お二人の説かれるところを比較すると、以下のようになります。
(母里氏の主張は、専門家にっては、むしろ常識的な考え方です)
 
 
 
まずは、手始めに、外出後の手洗い・うがいの励行について、、、、
 
岡田氏 : 徹底して励行すべし 
    (直接、ウィルスに対して効果ない が、
     菌の存在がウィルス感染を助長する可能性がある)
  
母里氏 : 意味なし 
    (ウィルスは喉の粘膜などに接触した瞬間に感染している)
 
 
 
では、マスクはどうでしょう、、、、
 
岡田氏 : N95規格以上、できれば、
       N99以上の高性能マスクを着用すべし
 
母里氏 : (特に、コメントなし)
 
ちなみに、英国政府は、専門的な訓練を受けていないと、
隙間から空気を吸っていたり、苦しくて無意識に手で触っていたりするので、
かえって集めたウィルスを指に移し、感染率が高くなる危険もある、
と指摘しています。
 
 
実は、岡田氏がはっきりと奨励している対策は、
(水や食料の備蓄といったサバイバル対策、以外)
手洗い、うがい、マスク、これだけです。
 
母里氏は、感染を防ぐ特別な対策はない、としています。
普段から、知らない内にインフルエンザに感染しており、
それが強い免疫を確立することにつながるので、
何より、元気に生きること、としています。
 
岡田氏は、「むしろ、免疫が強い人ほど、サイトカインストームによる死亡」
に至る危険が高い、免疫が強いから大丈夫というのは逆です、としています。
 
 
 お二方共、ウィルスを無差別に分解する酵素群の作用や、初めて遭遇する
 ウィルスを排除する自然免疫については、明確には言及しておられません。
 特に、岡田氏は、「新型ウィルスに対しては、誰も免疫がないので、酷い
 流行になってしまう」という言い方を繰り返し強調しておられます。
 もし、それが事実なら、スペイン風邪の大流行の際、何故、人類は絶滅
 しなかったのでしょうか。 世界大戦の犠牲者を上回る死亡者を出しましたが、
 全員が感染した訳でもなく、また、感染者全員が死亡したのでもないのです。 
 どんな新型ウィルスに対しても、「免疫」は即座に働くのです。
 問題は、どれだけ免疫が強いか、vs どれだけウィルスが強いか、です。
 
 
タミフルはどうでしょう、、、、、
 
 
岡田氏は、タミフルの有効性を強調していません。
感染後48時間以内に服用しないと効果ない、としておられ、
感染を予防する効果は「ない」としています。
感染後、ウィルスが体内に広がるのを防ぎ、
脳炎の発生を予防するもの、としています。
タミフルは、治療・予防効果があります、と
タイトルには書きながら、本文中では、
「感染を防止する効果はない」としています。
 
母里氏は、タミフルは効果なし、としています。
岡田氏も認めていますが、感染48時間以内、
というのは、自覚症状がありません。
本人が感染を自覚する前に、もう他人に
染してしまうので、隔離した時点で、
染した後となってしまう、だから、
インフルエンザは難物なんだ、としています。
 
また、母里氏は、タミフルを服用すると、
特に小児に異常行動が
見られるが、
大人も安全ではないので、
服用しないでください、としています。
 
岡田氏は、「現時点で、タミフルの服用と異常行動に
因果関係は認められていない」という言い方をしています。
 
で、岡田氏は、盛んに、欧米をはじめ、
世界はタミフルの備蓄を進めている、
日本は遅れている、、、 
これを、やたらと強調します。 
そんなにいい薬だと
言ってないにもかかわらず、
日本が遅れている、と、タミフル備蓄を推奨している
ような雰囲気を醸し出しています。  
(世界のタミフルの消費の大半は日本に
集中しています、現実は。 
備蓄量は少ないですが)
 
 
 
ワクチンはどうでしょう、、、、、、
 
岡田氏は、ワクチンが感染を防止する、とは言ってません。
世界は、こんなにワクチン備蓄体制が進んでいる、こんなに
ワクチン製造能力を上げている、、、  世界はワクチン、ワクチン、
日本は遅れている、やはり、タミフルと同じトーンで、日本の遅れを
強調しています。ですが、欧米において、ワクチンに予防効果があるとは
考えられていないことも認めています。 論理的に、ワクチンを準備
すべきである、とは一言も言わず、ただ、日本は遅れている、欧米は
ワクチン、ワクチンと、「雰囲気」づくり、に、ご尽力されています。

実際には、人間に感染した高病原性ウィルスから不活化ワクチンを
量産したのは日本が世界で最初であり、また、それを実際に、
数十万人もの
人に、試験目的で接種することを決定し、
実際、数千人に接種してしまった、これもまた、世界の常識を
飛び越えて、日本が突っ走って、危険を冒したのです。
「安全性を確認するために」試験をしたそうです。
医療従事者中心に、生身の人を使って、です。
8人の方が、ワクチンによる重篤な合併症を発症されました。
しかも、血中中和抗体を誘導するだけなので、
感染防止効果はないと考えられることは認めています。
実際、ウィルスに接触しないと、感染防止効果の
試験にはなりませんね。

グラクソが、日本のワクチンは、中和抗体しか誘導しないし、
アジュバント(自然免疫を賦活化するもの、ワクチン作りには
必須)を加えていないので、全く、意味のないものになっている、
と、自社製ワクチン(特別なアジュバントを添加)を売り込み、
化血研がライセンス契約を締結しました。
 
 
母里氏は、ワクチンは「効きません!!」 本の帯布にまで、書いてます。
むしろ、害が多い、大体、劇薬なんだから、あんなものを子供にうつな!!
と、訴えています。 はしかワクチンをうったから、はしかが大人にまで流行
したではないか!! とも、おっしゃってます。 長くなるので、ここでは
書きませんが、ちゃんと、論理的根拠を述べておられます。 
むしろ、本の大半が、何故、効かないか、何ゆえ、
害があるか、の根拠の説明に割かれています。
 
パンデミックフルーとは別の場面、従来型インフルエンザワクチンについて、
岡田氏は、本ではありませんが、「脳炎などにかかって亡くなる危険も高い
老人の場合、インフルエンザが、体内に広がるのを、防止できるのかも
しれない、、、 」、という言い方をしている、と、母里氏は指摘された上で、
バッサリと、否定しておられます。
 
そもそも、岡田氏は、パンデミックフルーの本の中では、唐突に、
ピリン系解熱剤(アスピリンなど)は、絶対に呑んではいけない、としています。
散々、従来型インフルエンザでは、こうだ、新型はまだ出現していないので、
実際には発生してみないと分かりません、と、条件をつけているのに、
ピリン系解熱剤については、「のんではいけない!」と断定しています。
ところが、根拠について、記載がありません。
母里氏は、そこを突いておられ、「従来型インフルエンザで脳炎になるのは、
発熱すべき時に、ピリン系解熱剤で熱を下げるから、ウィルスが脊髄に
侵入してしまうために起こる、それは専門家の間では常識! 
現に、岡田さん等もそれを知っているから、パンデミックフルー対策では、
ピリン系をのんではいけない、と言ってるではないか。 
そのくせ、老人向け従来型インフルエンザワクチンの話になると、
ええ、感染は防げないけど、体の中までウィルスが広がるのを防げるかも
しれない、死亡リスクが高い老人の場合は、ワクチンを集団接種した方が
好ましい、、、 完全に二枚舌を使っている。
46年も、効果がないのに害が大きいインフルエンザワクチンを児童に集団接種し
続け、流石に内外の批判に耐えかね、集団接種を中止したけど、今度は、
余ったワクチンを老人に集団接種させている。 自分は、老人施設にも
勤めたが、ワクチンしない人は、人の迷惑を考えない人だと差別されてしまう、、、」
 
母里氏は、歯に衣を着せず、噛み付いておられます。
 
 
私はどう考えるか、母里氏寄りの考えを持っている? 
いえいえ、母里氏のお考えは、専門家だったら、普通にもってる考えでしょう。
私は、もっと違う見方をしています、、、、


ただ、パンデミック対策について、警鐘を鳴らす岡田氏の行動
そのものには、エールを送りたいのです。 少なくとも、日本人としては、
先頭を切って、危険性を伝える行動を取っておられます。
問題は、話題が、医薬品やワクチンの話になると、
よく、内容を読めば、「効かない」 と、おっしゃってるのに、
タイトルや目次には、有効としている点です。
ほんとは効かないことを、よくご存知ながら、
お立場上、ああいう言い方しかできないのかしら、、、??
だとしたら、このお二人の女性どちらもですが、
とても勇気のある方、ということになります。