2008.11.13. ANK療法に関心をお持ちの方からのご質問で結構多いのが、NK細胞はどうやってがん細胞を認識するのか?という問題です。これについては、かなり歪んだ情報が方々のHPに書かれてあるので、これから整理していこうと考えていますが、私自身は、それよりももっと不思議と思っていることがあります。 世界中に山のように「認識」についての論文があり、それから派生した書物やHPがあります。NK細胞のみならず、ほかの免疫細胞であれ、抗原と抗体であれ、細胞の表面にこういうレセプターがある、、 それとこの部分が結合して、、、、 と、細胞表面や分子表面のレセプターを捉えてどうやって、がん細胞か否かを認識する、、、 という類の話は枚挙にいとまがありません。  これはこれで勿論、大事な話なのです。 ですが。  どうやって接近するんでしょうね?  レセプター云々の山のような論文は、尽く、接触した後の話をしている訳です。  NK細胞ががん細胞を触った後、こういうレセプターを認識する、、、 ということですね。 でもレセプターだと、接触するまで何も分からないじゃないですか。  例えば、サメ。 何キロ離れていようが、ドタバタと不規則に泳ぐ傷ついたり病気になった魚をキャッチし、ガブリと食べてしまいます。この場合、サメは不規則な動きをする魚が、静電気を発生するのをキャッチして近づいてくるのです。 ですが、最後は、やはり目で、獲物を確認します。 目隠しをすると、すぐそばまで接近はできるのですが、ガブリとはいけないのです。 (目隠しが気になって、お食事をする気にならないのであって、目が見えないからカブリつけないという証明としては不完全なのかもしれませんが、そこはご容赦を) ある程度、接近するのと、最後に目標を捉えるのは別のセンサーを使っているわけです。また、サメは何キロも先の僅かの血も嗅ぎ付けますが、これもやはり、獲物に接近するのに利用するのと、興奮し、激しく攻撃する、という別の効果も生みます。 NK細胞は、抗体医薬品が結合したがん細胞を激しく攻撃しますが、抗体が結合していても正常細胞は攻撃しませんので、興奮はするけども、がん細胞か正常細胞かを見分ける最終のセンサー、サメでいうと目に相当するのは抗体ではない、ということです。 さて、サメの静電気への反応は、とことん研究されています。 何故かというと、海底に一本、1000億円クラスの資金を投じて敷設される光ファイバーケーブル。 この高価な品を、何と深海ザメが、ガブリといくのです。 美味しくないと思いますけどね。 これはたまらない、ということで、何せ1000億円パーになるかどうか、という問題なのですから、とことん、調査にも熱が入る、というか研究費が入ってくるわけです。 しかしこの場合、目でみて魚ではないことは分からないんでしょうかねえ、、、 ま、ともかく、サメは何キロ離れていようが、乾電池の起電力程度の電位を一発でキャッチする、という信じ難いセンサーをもっていることが分かったのです。 3mのサメが、3キロ先の獲物の位置を捉えるということは、大きさの比率だけでいうと、10ミクロンのNK細胞が、10センチ先のがん細胞を見つけるのと同じことになります。 実際には、10センチどころか、静脈に点滴されたNK細胞は、全身どこにあろうが、がん細胞をみつけて攻撃します。 あの小さな細胞にしてみれば、遥か彼方の敵をみつけて、接近していくわけです。それは走化性、化学物質をかぎつけて接近するんだ、という説明がなされます。 確かに、たまたま敵に遭遇したNK細胞やマクロファージがほかの免疫細胞を呼び寄せるという働きはもっています。  ただ走化性といっても、どうやって、その化学物質が、そっちの方向からきた、と分かるのでしょうね? 脳に損傷を受け、障害をもたれた方に、骨髄幹細胞を培養して増やした上で体内に返すと、ちゃんと損傷部位に集まり、骨髄幹細胞が神経細胞に分化して失われた機能が回復する、という治療法があります。 この治療法、動物実験で、細胞に色をつけて、細胞の動きを「見る」こともできるのですが、見ていると、損傷部位に向かって、一直線に骨髄幹細胞が移動していきます。 あそこに損傷がある、と分かるのですね。 たまたま偶然、一個か二個の骨髄幹細胞が損傷部位に遭遇して、他の細胞を呼び寄せるのではなく、一斉に、殆どの骨髄幹細胞が損傷部位に向かって動き始めます。 匂いがしたら風上に向かえば匂いの元がある、というなら分かるのですが、組織の中を組織液がどう流れていようが関係なく、骨髄幹細胞は損傷部位へ向かってまっしぐらに移動します。 何か電波でもキャッチしているのでしょうか。  レセプターの研究は論文になりやすく、沢山の論文がでており、この最終誘導センサーの研究は進んでいるのです。ところが、中間誘導というか、遠距離誘導のメカニズムの研究は、殆ど進んでおらず、「摩訶不思議」の世界なのです。 明日は、もう少し、生物のもつ驚異的なセンサーについて、お話させていただき、そろそろ、NK細胞のがん細胞認識というテーマに近づいていきましょう。