2008.11.20.  何回かに分けて、NK細胞が、がん治療の本命と考えられてきた、あるいは、免疫こそがん治療の本命と考える背景について、触れさせてください。 


私ども創業メンバー自身の経験としては、

: これまで検査した限り、一人の例外もなく、がん患者さんは
  NK活性が低下していた

: ANK療法による体外培養により、NK細胞は、強力な活性を取り戻し、
  更に、どんながん細胞でも殺すレベルまで活性が強くなる

: 培養NK細胞を体内に戻すと、血液中全体のNK活性が急上昇し、
  がん細胞を効率よく殺すレベルまで達している

: 培養NK細胞の投与後、数日以内に、体内のNK活性はすぐに
  低下するものの、培養NK細胞の投与を繰り返す内に、高いNK活性
  レベルを維持するようになっていく

以上が、ANK療法の科学的根拠ですが、これに加え、京都大学時代に
治験としてANK療法単独により、末期進行がん患者の治療を実施し、
完全寛解+5年生存の確認を経て、ANK療法専門クリニックと、
クリニックを支援する会社とが創立されています。


ところが、NK細胞ががん治療の本命という考え方は、私どもの開発医師のオリジナルではありません。 免疫細胞療法の始まりが、1984年、米国ローゼンバーグ氏によるNK細胞の増殖・活性化の試みであったように、NK細胞を何とかしよう、ということは、誰もが考える、ある種、常識的なものだったのです。


元々、免疫監視機構、つまり、がん細胞は毎日のように発生しているが、免疫が、がん細胞を見つけては殺しているので、免疫力が、がんの勢いを上回っている限り、がんが増殖して発病することはない、という考え方はあった訳です。 クローン選択説というので有名になったバーネット卿というノーベル生理学賞をもらった免疫学者が唱えた仮説です。

さらに、リンパ球の中で、がん細胞を次々と殺す細胞が発見され、調べていったら、NK細胞だった、ということなので、70年代とか、80年代では、研究者なら、「そら当然、NK細胞でしょ」ということになっていたのです。 別の機会に書かせていただきますが、80年代の後半、世界中の免疫学者と会っていましたが、口々に、NKを増やせれば、、、、と囁いていました。  その後、NK細胞の培養を試み、培養がうまくいかない、、 治療以前の問題で、培養の段階で失敗の山が築かれましたので、最近では、NK細胞を使うのでは実用上、うまくいかないではないか、と考える研究者の方が遥かに多くなってしまいました。 さて、一般の方とお話をさせていただく際に、おお、なるほど、、、と、一番、受けがいいと感じるのは、ヌードマウスを使った実験です。


欧米では、人間の遺伝病の研究が盛んです。 日本人は世界でも珍しいとんでもない雑種ですので、遺伝病といっても、血友病をはじめ、数種類しか知られていません。ところが、白人には、代表的な遺伝病だけで5000種類ほどが知られています。 とくにかく、あらゆる種類の遺伝病の人が、沢山いらっしゃるのです。 で、特定の免疫細胞をつくれない遺伝病の人が、どんな病気にかかってしまうかを調べることで、どの免疫細胞が、どんな病気を防いでいるかを推測していきます。 この話も明日か、明後日にさせていただきますが、あんまり、受けはよくないですねえ、、、なんでかしら??  さて、ネズミを使う場合は、ノックアウトマウスというのをつくります。 ネズミを殴るのではなく、ネズミの特定遺伝子をノックアウト、機能しなくしてしまうのです。 免疫細胞の場合はどうか、というと、ヌードマウスというのをつくれば、T細胞が殆ど成熟しないネズミということになります。 ヌードというのは、毛が極端に薄いから、毛皮を脱いでしまったネズミ、ということでそう呼ぶのですが、このヌードマウス、胸腺がうまく成熟しないのです。T細胞の多くは、胸腺で成熟するので、胸腺が不完全だと、T細胞がうまく育ちません。 ですが、T細胞抜きのヌードマウス、特に、がんにかかってしまう訳ではありません。 そもそもネズミは、滅多にがんにならないのです。 日本がん学会のことを、「ネズミのがんを治す学会」と揶揄っていたジャーナリストの方がいらっしゃいましたが、ほんとに、そう言われていますね。 これ、結構、強烈な皮肉なのですね。 ネズミのがんを治すのと、人のがんを治すのは決定的に違う話ですが、そもそも、ネズミは、1年とか、早く死んじゃいますので、がんになるまで生きていないのです。 2年物のネズミというと、老衰ネズミの実験モデルに使われるぐらいです。 で、このヌードマウス、そう滅多に自然発生がんにはなりませんが、無理矢理、がん細胞を移植すると、生着はするのですね。 増殖もします。 そんなに転移はしませんので、一応、免疫は効いているけど、移植されたがんを全滅させる程には強くない、という状態です。 この、無理矢理がん患者にされてしまったヌードマウス、ちょこっと、インターロイキン2という免疫細胞を刺激する物質を注射すると、あっという間に治ってしまいます。 人間の場合、インターロイキン2を少々、注射しても、全く効果がなく、そのため、大量投与したら、今度は、尋常でない副作用がでてしまい、体内に投与する方法では、(がん治療用としては)使えない、ということになったのですが、ネズミのがんは、どうせ、移植された異常に弱いがんですし、転移はさせないレベルの免疫による抑止力は働いていますから、簡単に治せるのです。  で、ネズミのがんを治してもしょうがないだろう、人間のがんとは訳が違う、ということになるのです。 

では、NK細胞をつくる遺伝子をノックアウトしたネズミはどうなるのでしょう?

生まれてこないのです。人間もネズミもどっちもそうなのですが、NK細胞は生きていくのに絶対必要なのです。 散々、NKノックアウトネズミを作る試みが為されましたが、未だにうまくいきません。 T細胞はなくても生きていけるのですが、NK細胞がないと、生きていけないのです。

ならば。 抗アシアロGM1という抗体を、ドカッとネズミに注射すると、血液中のNK細胞が全滅に近い位、減少します。 生まれてきたネズミのNK細胞を後から叩くわけです。 すると、、 NK抜きネズミは、全身、腫瘍だらけになります。
これ、移植したがん、ネズミのがんを治してもしょうがないだろ、と言われる、移植したがんとは違います。 自然発生がんなのです。 滅多にがんにならないネズミが、NK細胞を叩かれると、がんだらけになってしまうのです。 ネーチャーにも、論文が出ていますが、この話は結構、インパクトがあるようですねえ。
このブログをお読みになられた方は、如何でしょうか、、?