2008.12.05.


腫瘍マーカー、CA19-9開発責任者であられた富士レビオ笠原氏には、
新入社員の時から、お世話になりました。

CA19-9は、腫瘍マーカーが大量に商品化される先駆けとなった製品です。

それまでは、がん細胞が盛んに増殖する際、胎児の時に発現していた
物質と同じ物を発現する、という現象を利用した、がん胎児性抗原の
検出キットが腫瘍マーカーとして実用化され、せいぜい、CEA、AFP、
フェリチン、それにBMG2と、体内で炎症が発生していることを示す
Nアセチル・ノイラミン酸、腫瘍マーカーというと、それ位しか使えません
でした。

富士レビオは、子会社だった臨床検査受託企業最大手、エスアールエルの
方が大きくなり、後に、持ち株会社方式で合併したため、兄弟会社に
なりました。 医療業界で、検査を委託する際、SRLブランドを知らない
人はいないでしょう。 両社とも、免疫系の特殊検査に関しては、
日本の業界をリードしてきた実力企業です。 
エイズの検査キットも世界で最初に製品化されたので、
早速、フランスの大手医薬品メーカーや、東欧圏の医薬品
メーカーにライセンスの商談を進めさせていただきました。

戦後まもなく、朝鮮戦争が勃発、戦場に血液を送るため、GHQの
指示で、血液銀行が設立されます。 組織としては、4つの法人に分けられ、
その内の一社が富士レビオ(当時、富士臓器製薬)、他に、何かと物議を
醸した旧ミドリ十字がありますが、両社は、同じルーツとはとても
思えないほど、社風はまったく異なっていました。 

モノクローナル抗体の制作技術や生産技術が改良され、腫瘍組織に
特異的なモノクローナル抗体を開発しよう、という機運が盛り上がりました。
世界中の企業が参入を試みた中で、世界の先頭を切って商品化された
のがCA19-9 です。 抗がん剤で、日本独自に開発されたものは
殆どありません。 ブレオマイシン、マイトマイシン、ベスタチン、
それ位でしょうか。 他は、海外からの導入品です。 
その点、富士レビオの診断薬は、国産開発品なのです。

まず、大腸がんの組織を抗原として、マウスに注射します。
がん細胞、正常細胞を問わず、ヒトの細胞をマウスに注射すれば、
種が異なりますので、抗体を作り易いのです。 実際には、
細胞まるごとではなく、膜成分などを分画して注射します。

すると、抗体をつくるB細胞が増えてきます。
一つのB細胞は、一種類の抗体しかつくりません。
ここで、「がん細胞」に対する抗体というものが
できるのではなく、もっと、細部の物質の、それも、
その物質の特定部位(=エピトープ)を認識する
抗体がつくられます。 B細胞は、体外では増殖
しませんので、ミエローマという体外でいくらでも
増殖するリンパ腫の細胞と、細胞融合、つまり
二つの細胞をくっつけてしまいます。
うまく一対一でくっつく保証はありません。
限りなく増殖するミエローマの性質と、大量の
抗体を産生するB細胞の性質の両方をもつ
細胞を選択します。 

そして、標的となる腫瘍細胞に、よく結合する
抗体を産生する細胞を選びます。
更に、腫瘍細胞によく結合する上、
正常細胞には結合しないものを選びます。
ここで、研究者は、腫瘍に特異的に結合する
抗体をみつけた! と、思い込むのです。


全然、本題に入ってませんが、続きはまた、明日。