2017.6.17.



米国国立衛生研究所NIHが有効性を証明した
NK細胞療法は、(名称はLAK療法)

50リットル(というレベル)の血液から集めた
数十億個のNK細胞を
体の外での培養し、強く活性化し
増殖をはじめることで、活性が低下する前に(3日以内)
体内の免疫抑制を緩和する措置(インターロイキン2大量投与)を
行いながら、体内に戻した

というものでした。


体外で、十分な数の
がん細胞を傷害するキラー細胞を
強く活性化する

体内の免疫抑制を緩和する措置を行う


この二つが、NIHが確立した
免疫細胞療法が、効果を発揮する
必要十分条件です。


ANK療法は、,鉢△領省を満たす
国内唯一の免疫細胞療法です。

ところが、国内では、50リットルの血液から
採取するのではなく、
20〜50ミリリットルと
三ケタもスケールダウンした免疫細胞療法が
普及してしまいました。
簡便で、コストも安く、手軽にできるため
ANK療法が、まだ全国で一か所しかできなかった時代に
こうした簡便法が、あっという間に全国に広がりました。
全国600か所以上で実施されているようですが
名称は様々でも、中身はほとんど同じものです。
そのため、免疫細胞療法は、
安全だが、効果がない、という風評を
生む背景となってしまっています。


他にも、LAK療法の検証と称する実験が
いくつも行われています。


ただし、1984年に、NIHが
有効性を明確に確認したLAK療法と
同じ条件で実施された追試は一つもありません。



実際に検証として意味があったのは
ホワイトヘッドらが行った
LAK細胞群からNK細胞を除去すると
がん細胞を傷害する活性が消失する
というものです。
ところが、この逆をやってしまった
実験もあります。


LAK療法は、NK細胞をがん治療に用いるために
設計され、だからこそ、NK細胞の活性低下を
招かないように、培養期間を3日以内に制限したのでした。

一つの問題は、血液中の白血球集団を根こそぎ採りだしたため
NK細胞以外の細胞が大量に混じっていることです。

そこで、高度に活性化されたNK細胞が
大量の細胞間接着物質、
つまり「糊」をたくさん
分泌することを利用して、
トリモチ式よろしく、
ネバネバNK細胞だけを採りだすことで
残った細胞集団に、がん細胞を攻撃する
活性が残らないことを確認したわけです。

こうして、LAK療法の効果は、NK細胞によって
もたらされたものが確認されました。


ところが、T細胞だけを除去する試みも盛んに
行われ、現在も行われています。


マイクロビーズという、小さなシリコンビーズに
磁性体を封入しておきます。そして、表面に
びっしとり、抗CD3抗体をつけておきます。

T細胞は、原則、細胞表面に
CD3を発現していますので
この抗体にべたべたとくっつきます。

そして、磁石で引っ張れば、T細胞ごと
マイクロビーズを引き寄せることができ
T細胞を除去することができるわけです。

マイクロビーズ法というのは
それほど突飛で特殊なものではなく
細胞を選別する際に、とりあえず
試みられる割とよくある手法です。
細胞の巨大さに比べると
抗体は小さ過ぎ、また、そんなに
びっしりと標的抗原が生えているとは
限らないので、牽引パワー不足で
うまくいかないことも、多々あります。


LAK細胞群れから
T細胞を磁石で引っ張って、取り除いた、
と「思って」しまい、
残った細胞を調べてみると、
あまり、がん細胞を
傷害する活性は高くありません。
LAK療法を実施したNIHの
グループも、
実際に、がん患者さんを
治療する臨床試験を行いました。
ところが、効果は
さっぱりでした。



なぜ、こういうことになるのでしょう。



マイクロビーズでT細胞を
取り除いたつもりになっていても
活性の高いNK細胞は、糊だらけですので、
一緒にくっついてくるのです。

残ったのは、あまり活性が高くない、糊をそれほど
出していないNK細胞だけ。 これでは
がん細胞を攻撃するパワーがないのは当たり前です。


NK細胞は、圧倒的に大量の糊を出すため
NK細胞をくっつけて取り去って捨てることは容易です。
ところが、NK細胞以外の細胞を取り去り、NK細胞を
残すことは、非常に難しいことで、無理にやると
活性の高いNK細胞も一緒に捨てることになります。



ところが。

リンパ球集団をとってくると
必ず、NK細胞と一緒にT細胞がおり
そして、NK細胞を圧倒するスピードで
増殖します。 

T細胞の実験をしたいのであれば
何日か放置しておけば、T細胞だらけになって
NK細胞はほとんどいない
レベルに細胞数比が低下します。

逆に、NK細胞の実験をしたい場合は
やたらと増えまくるT細胞が邪魔です。
そこで、こうしたT細胞を除去する手法が
研究者の間には広まっており
T細胞を除去する際に、
肝心の高活性NK細胞も
一緒に捨ててしまったあとの
残りのNK細胞だけで実験している
という事態に陥っています。



(つづく)